【大レポ】電子材料基礎②

電子材料基礎

初めに

電子材料基礎で作成した第2回レポートを示す。

注意

必ずしもあっているとは限りません

図などが手書きで雑です

レポート

誘電分極の種類とその発現機構,周波数応答について説明し、コンデンサ材料として適する誘電体の性質について述べよ。

誘電分極には、誘起分極、自発分極、微粒子による種類によって、電子分極、イオン分極、配向分極と分かれている。誘起分極は、物体に電圧をかけて電界を生じさせることで分極を生み、自発分極は、電界が生じていない状況でも、物質がすでに持っていた分極の事である。電子分極は、物質を構成している各原子において、電界がない時に、原子は双極子モーメントをもたない。しかし、電場が生じると、原子核の周りにある対照的にいた電子軌道が、電界と逆向きに変位して原子に双極子が生じて作られる分極が電子分極である。これは、どんな物質でも必ず起こる分極である。イオン分極は、電界がない時には、双極子が生じていない。しかし、電界が生じると、イオン結晶の陽イオンと陰イオンが、それぞれ反対側に位置を移動することによって生じる分極である。配向分極は、電界が生じていない時にも、双極子をもっている極性分子が、物質を構成する微粒子の全部または一部に含まれる時がある。その時に、自然状態において、分子の配列に規則性があって分極が存在する場合の分極が配向分極である。

発現機構について、説明する。電子分極は、図1を見ると、原子が、右向きの電界がかかることによって、双極子モーメントが発生して、原子核が右向きによる。これによって、分極が生じる。イオン分極は、イオン結晶の中でお互いが引き付けあっている状況で右向きの電界をかけると、負イオンは、左にずれ、陽イオンは、右にずれることによって、図2のように負のイオンと陽のイオンが近づき分極が生じる。配向分極は、図1のように永久双極子モーメントが働くが、電界が、右向きに働くことによって、負と陽のイオンが引っ張られて、図2のように同じ方向に向くことで生じる分極である。

図 1 誘電分極の種類①
図 2 誘電分極の種類②

周波数応答とは、キャパシタやインダクタなどを含む回路において、回路中の電圧や電流は、周波数によって、位相が変化するため、回路の任意の電圧や電流の比も、周波数によって変わる。そのため、電圧の比を周波数の関数としてあらわした絶対値を振幅特性といい、偏角を位相特性といい、これらを総称して周波数応答という。また、信号伝達要素の入力と出力との間に比例関係があるとき、その要素を線形要素に一定周波数、一定振幅の正弦波状に変化する信号を加えると、過渡的な状態を除いた定常状態の出力は定振幅の正弦波となる。入出力信号間の出力と入力の振幅比と位相差を、周波数を線形要素の使用周波数帯域で変化させると示す線形要素固有の性質を示すことであり、信号伝達要素の固有の性質を表現する方法の一つの事である。

コンデンサ材料に適する誘電体の性質を述べる。コンデンサ材料の容量は、誘電体の厚みに反比例するので、できるだけうすくする必要がある。そのため、ただ薄くするのでは、限界があるので、結晶粒の間の粒と粒との間の粒界を利用した粒界コンデンサになることができる性質の誘電体が適する。また、チタン酸バリウムのようなキュリー温度で誘電率が極大になるような誘電体の性質を持つような物質であると、添加物を加えることによって、キュリー温度を低温側に移動させたり、比誘電率の温度変化をなだらかにしたりするなどの、用途に応じた調整を行うことができるので、チタン酸バリウムのようなキュリー温度で誘電率が極大になるような誘電体の性質をもつ物質が適すると考えられる。

2水中では電波が利用されない理由と,超音波が利用される理由を,詳しく述べなさい。また,魚群探知の原理について,超音波の送受信に使用する材料の特徴を含め,詳しく説明しなさい。

音波は、振動して空気の分子を次々と揺らしていく事によって音を伝える事が出来る縦波の波の事である。物質の密な部分と疎な部分が交互に変化を伝えながら伝わっていく為、物質が無ければ伝わって行かなく、伝わる速度は、温度によって変化し、温度が高い方が分子の動きが活発になり、速く伝える事が出来る。超音波は、この音波の周波数が高くしたものであり、聞くことを目的としない音で、直進、減衰、反射、屈折、回折という性質を持っている。対して、電波は、電界と磁界が交互に変化を伝えながら伝わっていく、電気エネルギーの波の事で、音波と違い真空中でも伝わる。世界では様々な周波数の電波が飛び交っており、波の共鳴現象を用いて、必要な周波数の交流電流を受信アンテナに流しておいて、目的の電波を増幅して受信している。伝わる速度は、真空に近づけば、近づくほど、光と同じ光速なり、空気などの物質が少ない方が速く伝わる波である。この、超音波と電波の伝搬速度を図1に示す。

図 3 超音波と電磁波の伝搬速度[1]

図3によると、超音波は、空気中では、343(m/s)、水中では、1480(m/s)、電波は、空気中は、30万(km/s)、水中では、約24(㎞/s)となっている。このことから、水中でも、電波を使用すればよいのではと考えられる。しかし、海中で、電波は、急激に減衰してしまうことによって、伝搬速度が、早いのにもかかわらず狙った場所に届かないということが起きる。そのため、水中では、電波は使われない。たいして、超音波は、振動して空気の分子を次々と揺らしていく事によって音を伝える事が出来る縦波の波であるので、電磁波のように急激に減衰することはなく、狙った場所に届けることができる。また、超音波には、直進、減衰、反射、屈折、回折というような性質があるので水中での超音波を活用する範囲が増えると同時に伝搬速度が、1480(m/s)なので、正確な情報を受け取ることができる。このため、水中では超音波が、用いられている。

魚群探知機の原理について考えてみる。魚群探知機は、まず、船底に取り付けた送受波器の超音波振動子から海底に向けパルス状の超音波を発射する。この超音波振動子は、発振器からの高周波電力をかけることによって電圧効果が発生して、超音波振動に変換する。主に電圧材料が使われている。この電圧材料の振動子は、交流電圧を加えると振動するチタン酸ジルコン酸鉛を用いることで、超音波振動を発する。その時には、特定の振幅において、そのようにして発射された超音波バルスは、海底に向かって進んで行き、超音波パルスが進んで行く途中に魚群などがいる場合は、それらの魚群に当った超音波は反射する。その反射された超音波は微弱な信号が、船底に取り付けた振動子まで返ってきて、魚群に当たらなかった超音波はそのまま海底に向かって進んで行き、海底で反射して、送受波器まで返って来る。この超音波パルスを発射してから反射波が返ってくるまでの時間を測定すれば、自船から魚群や海底までの距離を知ることができる。魚群探知機はこれら一連の動作を連続的に繰り返し自船の真下の様子を画面に表示させることによって、使用される。この超音波振動子として使用されるチタン酸ジルコン酸鉛の材料の特徴は、叩いたり、圧力をかけたりすると電圧を生じ、逆に電圧をかけるとそのものが伸縮する圧電性が優れているという特性を持っている。そのため、より効率よく超音波振動を発生することができ、反射した超音波振動も正確に受け取り、魚群の場所を正確に確認できることがわかる。

pn接合において,接合界面に空乏層が形成される理由,ならびに電圧印加により整流性が現れる理由について述べよ。

pn接合において,接合界面に空乏層が形成される理由,ならびに電圧印加により整流性が現れる理由について考える。pn接合とは、同じ種類の結晶の一部をp型、そのほかの部分をn型としたときのp型とn型の境界部分の事である。p型とは、ケイ素自身は、価電子が4つであるので、原子と原子の間では、電荷中性条件が満たされている。この状態のケイ素にホウ素を加えた時、ケイ素の価電子が4個、ホウ素の価電子が3個であることから、ケイ素が、価電子4個と結合したいのに、ホウ素の価電子が3個しかないので1つ電子の空きができる。それが正孔である。その穴に、周りにある電子が入り込むことで結晶内を自由に動くことができるようになった。このことをp型半導体という。p型の時と同じように、ケイ素にリンを加えると、ケイ素の価電子が4個、リンの価電子が5個であることから、リンの4個の価電子が結合することがわかる。しかし、リンの価電子が一つ余る。その電子の静電気引力は、共有結合している電子の束縛と比べて十分に小さいので外から供給されるエネルギーによって自由電子となる。これが、n型半導体の事である。このp型とn型をエネルギー準位で考えた時、p型は、アクセプタ準位が価電子帯の少し上にでき、価電子帯から出た電子を価電子帯にある正孔で受け取る役目をし、n型は、ドナー準位が伝導体の下にできて、ドナー準位の電子が、伝導帯に供給する役目を担うことで図4のようにあらわされている。

図 4 p型とn型の半導体の不純物のエネルギー状態

これから、pn接合について考えていく。p型とn型を接合すると、p型は、正孔が、たくさんある状態で、n型は、電子が宅さ案ある状態である。この状態の正孔は、n型の方向へ、電子は、p型の方向へ拡散して入っていく。そのことによって、電子と正孔が、出会い、再結合して、消滅するということが起き、空乏層が生じる。その結果、図5のような境界面付近に正孔が、電子に近づいて結合することでドナーイオンが、電子が、正孔に近づいて結合することでアクセプタイオンが見えるようになる。このイオンたちによって、n型からp型に向かう内部電界が存在することがわかる。

図 5 空乏層の仕組み

そうすると、n型にある電子が、p型の領域に行こうとして、空乏層に入ったとする。そうすると、電子は、電界と逆方向の力が加わるので、n型の領域に戻ってしまうということが起きる。また、p型にある電子が、n型の領域に行こうとして、空乏層に入ったとする。そうすると、正孔は、電界と同じ方向の力が加わるので、p型の領域に戻ってしまうということが起きる。このことをエネルギーバンド構造で考える。図4のp型とn型のエネルギーバンド構造を繋げると、n型の伝導帯にある電子は、p型の伝導帯の領域に進み、p型の伝導帯にある正孔は、n型の伝導帯の領域に進む。そうすると、伝導帯の電子が、価電子帯に落ちて、再結合して、消滅する。そうして、空乏層が作られる。空乏層においては、アクセプタ準位と、ドナー準位においてある、アクセプタイオンとドナーイオンについになり中性になるための電子と正孔が消滅しているので、n型の領域が下がり、p型の領域が上がり、空乏層の領域が傾くというような図6のようなエネルギーバンド構造が出来上がる。このようにして、空乏層が作られる。

図 6 pn接合のエネルギーバンド構造の図

次に、電圧印加により整流性が現れる理由について考える。p型には、正孔、n型には、電子というキャリアを持っているため、電気抵抗は低い。一方、空乏層には、キャリアが存在していないので、電気抵抗が高い。このことから、低抵抗2個と高抵抗が、直列に接続されていると考えられる。抵抗R1,R2に電圧を印加すると、仮定する。この時のR1とR2の電圧をV1,V2とする。計算すると、

そうすると、各電圧は、R1の抵抗よりもR2の抵抗の方が、はるかに大きい時には、V1=0,V2=Vとなる。このことから、空乏層の抵抗にすべての電圧がかかり、空乏層がとても影響を受けてしまうということがわかる。p型を正として、電圧をかけるとする。そうすると、図6のp型の領域の位置が、下がる。このことによって、図6に書いてある、傾きの高さであるエネルギー障壁が、小さくなり、空乏層が影響を受けて傾きが小さくなってしまう。このことによって、n型にある電子が、エネルギー障壁を超えることができる可能性が上がることによって、電流が流れるようになる。対して、n型を正として電流をかけるとする。そうすると、図6のn型の領域の位置が、下がる。このことによって、図6に書いてある、傾きの高さであるエネルギー障壁が、大きくなり、空乏層が影響を受けて傾きが大きくなってしまう。このことによって、n型にある電子が、エネルギー障壁を超えることができる可能性が下がることによって、電流が流れなくなってしまう。このことによって、電圧の印加により整流性が現れることがわかる。

MOS型の電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極に正電圧を印加したとき,ソース・ドレイン間の電気抵抗が小さくなったとする。半導体の導電型を明確にして,トランジスタの断面構造を描き、そのような構造となる理由について,動作原理をもとに詳しく述べなさい。

MOS型の電界効果トランジスタのゲート電極に正電圧を印加したとき,ソース・ドレイン間の電気抵抗が小さくなったとする.この時の半導体の導電型を明確にして,トランジスタの断面構造を図7に示した。

図 7 トランジスタの断面構造

次に,そのような構造となる理由について,動作原理を考えていく。まず、MOS構造について考える。MOS構造は、金属と半導体が、絶縁体を挟んでいる構造となっている。半導体は、電気伝導性を持つので、金属としてとらえてよい。なので、コンデンサ構造と同じとらえることができる。この時の誘電分極について考える。この誘電分極を表した図8、図9を見てみる。

図 8 n型半導体の誘電分極
図 9 p型半導体の誘電分極

図8を見てみると、n型半導体の時、金属側に正の電圧を印加すると、絶縁体で誘電分極が生じる。この時に、絶縁体の下部分が正になるために、n型半導体の自由電子は、絶縁体の正の部分に集まり、キャリアが蓄積された状態になる。対して、金属側に負の電圧を印加すると、絶縁体の下部分が負になるために、n型半導体の自由電子は、絶縁体の負の部分に反発し、絶縁体と半導体の間に空乏層が作られた状態になる。さらに負の電圧を印加すると、空乏層がさらに広がり、絶縁体の負の部分に引き寄せられた正孔が集まり、空乏層にp型の層が作られる。図9を見てみると、p型半導体の時、金属側に負の電圧を印加すると、絶縁体で誘電分極が生じる。この時に、絶縁体の下部分が負になるために、p型半導体の正孔は、絶縁体の負の部分に集まり、キャリアが蓄積された状態になる。対して、金属側に正の電圧を印加すると、絶縁体の下部分が正になるために、p型半導体の正孔は、絶縁体の正の部分に反発し、絶縁体と半導体の間に空乏層が作られた状態になる。さらに正の電圧を印加すると、空乏層がさらに広がり、絶縁体の正の部分に引き寄せられた電子が集まり、空乏層にn型の層が作られる。このようにn型とp型の反転層が作られることを電界効果という。この電圧効果を利用して考えていく。図7を見てみると、ゲート電極と接しているのは、p型半導体である。そのため、ゲート電極に正電圧を印加したときは、酸化絶縁層が誘電分極を引き起こし、酸化絶縁層の下部分が正になる。そのため、p型半導体の正孔が、絶縁体から離れて、空乏層ができて、電子が絶縁体に引き寄せられるので、電界効果が起きて、n型半導体の層が作られる。そのため、ソース・ドレイン間が、すべてn型半導体になることによって、電気抵抗が小さくなり、図7が作られることがわかる。

参考資料

[1]株式会社カイジョー、「超音波とは何か」、(超音波とは?│株式会社カイジョー (kaijo.co.jp))2021年6月23日参照. 株式会社カイジョー、「超音波とは何か」より。

[2]澤岡昭、『電子・光材料 第2版 新装版 基礎から応用まで』(2020年)、森北出版株式会社.

[3]KDA、「チタン酸ジルコン酸鉛」、(チタン酸ジルコン酸鉛セラミックスの特徴(セラミックスの基礎)|セラミックスファクトリー (kida.co.jp))2021年6月23日参照.

[4]魚群探知機あれこれ、「原理や仕組み」、(原理や仕組み | 魚群探知機あれこれ (gyoguntanchiki.com))2021年6月23日参照.

[5]よくわかる!!2つの違い辞典①、「音波と電波の違い」、(音波と電波の違い~音波と電波の違いを簡単解説 (st39.net))2021年6月23日参照.

[6] 山﨑弘郎、JapanKnoeledge Lib,「周波数応答」,(周波数応答 | 日本大百科全書 (japanknowledge.com))2021年6月23日参照.

[7]高木茂考、『アナログ電子回路』、(2020年10月10日)、株式会社オーム社.

[8]コトバンク、「誘電分極」、(誘電分極とは – コトバンク (kotobank.jp))2021年6月23日参照.

終わりに

参考になったら幸いです。

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