始めに
2回目の電子物性基礎のレポートを掲載します。
レポート
結晶におけるX線のブラッグ回折について、図と式を用いて説明せよ。また、面心立方格子をもつ銅結晶の{100}面に、波長0.1658 nmの単色X線を投射した時、一次のブラッグ回折角θ1 を求めよ。θ1 は、arcsinの形で答えてもよい。ただし、Cuの格子定数を0.3608 nmとする。[1]
まず結晶のブラッグ回析について説明する。簡単に説明するために、結晶の原子が並んだ図とX線の反射した図を図1に示す。この図1で示したX線が角度θをなす回折について考える。そのために、X線は、原子面で入射角と反射角が等しいことに従って反射すると仮定するとき、並行するX線Ⅰ、Ⅱの行程の差を求める。原子AからX線Ⅱに垂線を引いた時の交点を点C、Dとする。この時、行程の差は、原子Bから点C、Dの距離なので、(CB+BD)となる。原子と原子の間隔がdなので、三角関数を用いてCB、BDを求めると、

となる。このことから、行程の差は、

となる。X線は、光の波と同様に位相が一致した時に強め合うので、(CB+BD)の行程の差が、X線の波長の整数倍の時に強め合うことがわかる。このことから、

と表される。この

の式がブラック条件と呼ばれる。このブラッグ条件が成立する時に、X線が結晶に入射して角度θをなす回折が、ブラッグ回折である。次に、面心立方格子をもつ銅(Cu)結晶の{100}面に、波長0.1658 nmの単色X線を投射したとき、一次のブラッグ回折角θ1 を求める。図2に面心立方格子をもつ銅結晶の{100}面の図とX線の反射した図を示す。格子定数をdとおくと、ブラッグ条件より、

であり、1次のブラッグ回折角θ1の時、n=1であるので、

となる。よって、






導体、絶縁体、半導体のエネルギーバンド図を示し、これらの違いを説明せよ。[1]

次に、導体、絶縁体、半導体の違いについて考えていく。これらは、電子で満たされると上の許容帯に移動する許容帯の充満帯から始まりその次に禁制帯があることは一致している。しかし、次の許容帯で導体と絶縁体、半導体で違いが生まれる。導体では、許容帯の一部分が最高のエネルギー準位であるフェルミ順位まで満たされる伝導帯がある。対して、絶縁体、半導体では、充満帯になっている。導体は、この許容帯の一部分だけが電子で満たされていて、上の準位が空帯の時には、フェルミ準位の近くにある電子は、電界からエネルギーを受け取って、一定方向に次々にすぐに上の準位あがる。これによって、導体には電流が流れる。絶縁体と半導体は、禁制帯の上に充満帯がある。しかし、絶縁体では、その上の許容帯が広い禁止帯、半導体では、狭い禁止帯となっている。絶縁体の時を考える。禁止帯の上に、空帯の許容帯があるが、導体と異なり、電界によってエネルギーを増加させる高エネルギー準位はなく、広い禁止帯に阻まれている。そのため、禁止帯を超えるためのエネルギーは、普通の電界では無理なので、絶縁体には電流が流れないことがわかる。半導体では、絶縁体よりも狭い禁止帯に空帯に行くのを阻まれている。このおかげで、温度が上昇するような熱エネルギーが大きくなる現象が起きると、電子の動きが活発になり、禁止帯を超え、上の許容帯に移動できる。空帯には、空いた準位が残っているので、電子が電界によって加速され、電流が流れるようになる。これによって、絶縁体には、半導体は、熱エネルギー等が与えられるという条件付きだが、電流が流れることがわかる。以上のことから、導体は、許容帯の一部分が満たされている伝導帯と空帯で、電子が電界によって加速され電流が流れて、絶縁体は、充満帯の上の広い空帯を超えるエネルギーが得られないので電子が移動できないので電流が流れない。そして、半導体は、充満帯の上の狭い空帯を外部から熱エネルギーを受け取ることで電子が活発になり、条件付きだが電流が流れる。このような違いが、導体、絶縁体、半導体の違いだと考えられる。
参考文献
[1]下村武:電子物性の基礎と応用p70-71,p82-84,コロナ社,2018年,51版.
最後に
参考になれば幸いです。
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