始めに
物理学実験「分光計を利用した波長の測定」で実験した時の前提条件や調節ねじについて述べる。
光を強め合う時に前提条件について
分光計の回折格子において、回折角をθ、格子間隔をdとすると、定数をm、波長をλとすると、
dsinθ=mλ
と表すことができる。
この値が、強め合うのは、m=1,2,3…と整数になることは、高校の物理で既知の範囲だと思う。
ただ、この強め合う時の前提条件は、以下のようになる。
①d<<Lであること
(L:回折格子から、分光計の回折格子のレンズまでの距離)
②入射光が、並行に回折格子に入射することで、回折格子に入射した光が平行に回折すること
③回折格子に入射した光の位相が揃っていること
この3つの前提条件は、分光計でどのように成り立っているのかを考える。
d<<Lであること
回折格子の間隔は、基本的にd=1/2000(cm)=5.0×10^-6(m)になっている。
分光計において、Lの距離が、5.0×10^-1(m)と仮定する時、
Lは、dに対して、10^-5倍もの差がある。
このことから、ある程度の差は、誤差と考えられる。
入射光が、並行に回折格子に入射することで、回折格子に入射した光が平行に回折すること
分光計には、放電管から入ってきた光が、コリメーターを通る。
このコリメーターは、入射した光を平行に整える効果があるので、これを利用することによって、回折格子に平行した光が入射することができる。
回折格子に入射した光の位相が揃っていること
光の位相において、光が、放射する範囲が狭ければ狭いほど位相が、近いと考えられる。
このことを利用して、位相を揃える。
分光計のスリットは、分光計に入射する光の量を制限する役割を持っている。
スリットが、入射した光を制限して、位相が揃った光だけを得ることができる。
これによって、位相が揃った光が回折格子に入射することができる。
以上のように、分光計で成り立っている。
この前提条件を実験で行う際に注意する点は、スリットを制限しすぎないことである。
コリメーターの右側にスリットを変化させる調整ねじがある。
これを回すことで、入射する光を制限することができるが、回しすぎてしまうと光が届かなくなってしまうので、ぎりぎりを見極める必要がある。
分光計にある望遠鏡の調節ねじについて
分光計にある望遠鏡の右側に調節ねじがある。
これを回すことで、光をはっきりと見せることができる。
ハッキリと見えるか見えないかを見極めるには、望遠鏡のレンズにXの線が見えているのか、いないかを確認することである。
これは、実験する上で重要なことなので、しっかりと行ってほしい。
終わりに
大学の分光計の実験の参考にしていただけたら幸いです。
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